シャープ ~車載用ディスプレイでは厳しい
今日は大幅な減資を発表して「中小企業」になろうとしているシャープについて考えてみようと思います。そもそも減資したところで増資するでしょうし、あんまり世間でいうほどの意味って何があるのかよく分からないのではありますが。
シャープの利益ですが、以下のようにここ数年で大幅な赤字を計上して自己資本をどんどん毀損しています。
私のシャープの認識ですが、家電御三家といわれるソニー、パナソニック、シャープの3社中、圧倒的に純資産が薄いんですよね。シャープは15年3月期第3Qの段階で総資産2.2兆円、純資産2,500億円程度ですが、パナソニックは総資産6兆円、純資産2兆円(15年3月期)、ソニーは総資産16兆円、純資産3兆円(同)と純資産の厚みが全然違うので、同じように大幅な赤字計上をしてもダメージが全然違います。
もしシャープは今度の決算発表で2,000億円超の最終赤字を出すと債務超過に陥る可能性も大きくなり、銀行調達も難しく、事業継続も困難になると思われます。
今のところ新聞報道などではみずほとBTMUが2,000億円程度のDES(デット・エクイティ・スワップ)を行って貸出を優先株に振り返るようですが、銀行としても直接ロスを出すよりも延命させた方が得策ということなのでしょう。私自身は銀行経営にとっても、シャープにとっても良い判断かどうかはやや疑問です。
今やシャープは投資に回せるお金も無くなってきていますので、取りうる手段は限られていると思います。
結局、液晶一本足打法で亀山工場や堺工場まで作ってしまったけれど、液晶のコモディティ化というか、価格の下落が著しく、工場の稼働率も下がってしまってにっちもさっちもいかない、というのが最大の原因でしょう。現在注力している中小型液晶パネルのシェアは以下の通り。
日本としてはジャパンディスプレイを折角上場させたのに中国勢にシャープの技術を持っていかれたら大変だという思いはあると思います。なんとか立ち直ってもらうしかないのですが。。。
今シャープが力を入れている分野が車載用液晶パネルとのこと。これはちょっと厳しいのではないか、というのが第一印象。結局、液晶に拘って投資を続けたものの、新しいものを生み出せずに中韓勢に追いつかれ価格競争に巻き込まれたという事実をどのように認識しているのか、そこをきちんと説明しないと市場は厳しい反応をしめすと思います。今は良くてもすぐ他社でも生産できるようになるでしょうし、テレビやスマホのような爆発的に売れるということもないでしょう。競争の次元というか、土俵を変える必要があるのに、まだそこに拘ってしまっているというのが大方の見方ではないでしょうか。
結局は新技術などへの投資も含め、どこかとアライアンスを組むしか方法はないのではないでようか。シャープから人材が抜けきらないうちに、他業種含めシャープの技術を欲しがる企業と提携し、時間の猶予を設けてからイノベーションをおこしていくというのが順番であるように思います。
市場ではシャープからの優秀な開発人材を狙って人材獲得合戦が激しさを増しそうです。