YTLコーポレーション ~グローバルインフラ企業として合併を模索か
マレーシアでは他の東南アジアと同様、財閥が幅をきかせています。製糖業で拡大したクォック、金融で有名なホンリョン(黄隆)、シンガポールのセントーサ島も手がけたゲンティンなど色々です。
さて今回は日本にも上場していて、北海道のニセコビレッジを買収したYTLグループを考えてみることにします。
YTLグループは創業者のYeoh Tiong Leyから名前をとっており、インフラを主とする今グロマリットです。 色々なところに顔を出しており、例えばクアラルンプール国際空港から市内に急行を使った方はKLIAエクスプレスに乗ったと思いますが、この運営会社の50%株主はYTL、クアラルンプールのJWマリオットやリッツカールトンといったメジャーなホテルの運営会社もYTL、Yesで目にする通信会社もYTL、ニセコの例のように不動産にも積極的です。
売上は以下のような感じ。10年で3倍以上になっていますが、最近頭打ちかな、利益は横ばいです。
実はYTLは電力や水事業(下水道含む)を中心にしたユーティリティ事業が中心です。しかも全体で7割くらいが海外での運営。買収を繰り返して海外の電力事業や水事業を取り込んで大きくなってきました。上の2010年で大きく売上が上がったのもシンガポールの電力会社を買収したことが原因です。
ただ問題は、売上が伸びている一方で利益が全然伸びていないこと。ユーティリティ事業に至っては買収しているのに利益が落ちている状況で、これが全体の利益率を下げてしまっています。不動産は伸びていますが、やや水物です。
電力事業や水事業のオペレーションは本来、ベストプラクティスを輸出するようなものであれば効率化も進んで利益を押し上げますが、単純に買うだけになってしまっているのかもしれません。少なくともシンガポール電力会社の買収は全く利益に貢献しておらず、今のところ失敗と行っても過言ではありません。
とはいえ海外売上が70%を占めるグローバル企業ですし、インフラを押さえている実績はあります。世界のインフラ企業に比べるとどうしても小粒なので、ここから更に発展しようと思うと、どこかのよりノウハウの高い企業と提携するか、思い切って一部は合併するかしなければ抜本的な発展は難しいように感じました。
リッツカールトンとかはオシャレですが、YTLにとっては趣味の世界ですね。
今回の提案は以下、
- 世界的に見ればインフラ企業としては小粒、他のインフラ建設会社などとタッグを組んで運営を任せてもらえる形にしたい。
- そのためには他のベストプラクティスを持っているグローバルインフラ企業と提携するか、いっそ合併も模索する。そうすると一気に世界が変わる可能性あり。
さて、ご飯食べてきます。